出版のウラ話。なんで・どうやって本を出したの?

日々のこと、雑記

先日出版した、タイのガイドブックですが。

予想以上にたくさんの方に読んでいただいていて、うれしいです!

当初は、住んで数年のやつが書くな!とか、素人が!とか、お怒りのメッセージが四方八方から飛んでくるのではと心底ドキドキしていたんですが、思いのほか「読んだ!良かったよ!」「この量1人で書いたの?がんばったね!」「友達にここ行きたいって話してプランを立てたよ」とか色んなうれしいコメントをいただいてます。

読んでくださった皆さま。応援してくださった皆さま。
本当にありがとうございます!!

さて、今日はウラ話的なものを1つ。

最近「本出しました!」と言うと、よく聞かれる質問があります。

「なんで出版したの?」

そして2番目に多いのがこの質問。

「どうやって出版したの?」

言い方や表現はいろいろですが、出版に至る経緯やきっかけ、はたまたコネあったの?的なあたり(笑)を聞きたいのだと思われます。今回はそのあたりを書いてみようと思います。
(けっこう長い、しかも自分語りになりますので、それでもいいよって人だけ読んで下さいね。)

  • 何か新しいことをゼロイチで始める人
  • Kindle出したいなぁと思ってる人
  • ブログから電子書籍にするってどうするのか知りたい人

といった方のご参考になればうれしいです。

なんで・どうやって出版したの?

なんで? と聞かれると、「タイに遊びに来る友達や親戚にオススメをひとまとめにしたものを贈りたかった」とか、「写真をたくさん撮ったから活用したくて」とか。小さな理由は沢山あるんですが、1番大きな理由が、

「ずっと本を出したかったから」。

夢、というとちょっと大げさな気分ですが、うん、たしかにこれは夢だったのかもしれません。

私はずっと本が大好きで、中高生の頃から新聞委員やら文芸部やら、あるいは出版社でのアルバイトやら、いろいろな形で本や出版というものに愛着がありました。考え抜いた結果、就職は別の道を進んだけど、直前までかなり迷いました。別の分野で就職した後も、出版に携わりたいという思いはずっと心の底にありました。
とはいえ、まったくの素人です。ブログも写真もタイに来てから始めました。ましてや出版について、何の知識もコネクションもありません。

どうやって出版したの?というと、完全なる地道な作業です。(夢がなくてすみませんw)

出版の舞台裏、その全貌

まず、最初に本を出そう!と決心したのは去年の10月1日。(区切りのいい日だったからなぜか覚えてる)

まず11月のチェンマイ旅行に向けてガイドブック探してて。最近は物を増やしたくないから基本的に電子書籍を買うんですが、Kindleで「チェンマイ」って検索したらいくつかいい本を見つけて。

特に、ここで紹介してる1と2↓

チェンマイのガイドブックまとめ。コムローイ、イーペン祭り情報も!
古都チェンマイのガイドブック3冊(+@)をご紹介します。コムローイ、イーペン祭りの情報も!

「チェンマイのガイドブック 女子旅のしおり」「NOMAD TRIP 観光一切なしのチェンマイ旅」。どちらも私と変わらない世代の方が出してて、しかもかなりクオリティが高いことに感動しました。この2冊を読んで「私もこういう本書きたい!!」と強烈に思ったんです。

「バンコクのガイドブック出すならネタ100個くらいあるな」という気持ちでタイトルは「タイでしたいこと100(仮)」、略称は「タイ100」と、心の中で勝手に決めました。

その時既に作りたい本のイメージがあって、テキスト多めの小説みたいな本じゃなく、写真多めでフルカラーで紹介するガイドブック。絶対にデザインはかわいくしたい!でも自分じゃイラレとかデザインとかうまくできない。誰か助けてくれる人を探さなきゃ!と。

ただの妄想だったらここで終わってしまうのですが、進むべき方向の時って何か後押しがあったりします。人の応援だったり、協力だったり、なんらかのご縁だったり。

私が「この人だ」と思ったのは、写真つながりの友達だったサイアムノォトのわん吉さんでした。この人と一緒に本を作りたい!

わん吉さんは、ご自分でフリーペーパーを発行していたり、サイトのデザインもすごく素敵で。サイアムケンピンスキーのアフタヌーンティーを食べながら、2人で秘密の会議をしたのを覚えてます。結果、彼女は本のデザインは初めてだったにもかかわらず、快く引き受けてくれました。

わん吉さんについてはこちら↓

人気ブロガー・きょんさんの著書「タイでしたい100のこと」をまるごとデザインさせていただきました🌟 | Siam Note +2
バンコク在住の人気ブロガー・きょんさんが初めての著書「タイでしたい100のこと」をKindleから出版しました。わん吉は数年前にきょんさんと知り合ってから、時々お会いしてはその胸に秘める思いを伺ってきたので、今回こうして「本」という形で世の...


相談の結果、デザインはすべて彼女にお願いし、その他はすべて私。 この体制でスタートしました。企画、構成、執筆、撮影、販売手続きまで…すべて私です。何も知識はないけど、やりたいんだからともかく勉強してやるしかない! そんな覚悟でスタート。既に11月上旬になっていました。

最初は彼女と私の環境でやりやすいシステムを相談して、1ページの大まかなレイアウトや文字数を決めて、そこからはずっと書き続けました。基本的には会わずに、オンライン上でデータ共有して作り続けます。

クラウドで共有する方法は、DropBoxを使いました(大容量なのに最後まで無料で使えて良かった!) エクセルで目次を作る →本文を書く →DropBoxに写真など共有 →彼女がデザインしたもの作成 →チェックして直す →次のを書く …の繰り返し。
最初は1月中に出せたらいいな〜なんて甘く思ってたけど、すーーーーーーんごい時間かかったw

まず「内容はブログから拾えばいいし」と思ったけど、無限に書けるブログと文字数制限がある紙では全然違って。すべて1から書き下ろしになった。
そして写真も「あの時撮ったやつ使って」とか想像してても、実際見ると全然使える写真がない!笑 最近写真をがんばってるせいで、半年前の写真とか目も当てられないようなクオリティなの!画角が! 違う! こんな写真ダメだ!! 昔の自分をグーで殴りたいと何度思ったことか!!!
その中でなんとか使える写真を探して、どうしても使えなかったらもう1回日程調整して撮りに出掛けたり、そもそも載せるかどうか? 目次を作り直したり。

作業も毎日したいけど、なかなか私の体力が持たずに寝落ちしたり、子どもが長期休みの時はまったくPCの前に座る時間を取れなかったり。家族や家事の時間は削れないので睡眠時間を削って、
(おかげでまったくなかったはずの白髪が大量発生しましたwww)

水面下で地道に続けてたのでまだ誰にも言えず、途中は先が見えずに心が折れ、作成ペースがかなり落ちてた時期もありました。

そして年明けに、わん吉さんが台湾に引っ越すことが決まり。焦ったけど、幸いにもすべてクラウドで共有してたので特に問題なく進めることができました。
引っ越し作業の前後も力を尽くしてくれたわん吉さんには、本当に感謝です。1人だったら絶対に技術的にも気持ち的にもやりきれなかった。

すこし方向転換

最初は100全部いっぺんに出そうとがんばってたんですが、どんどん遅くなってしまうし、自分の気持ちも保たないし、内容を切り分けて上下巻で出そう!ということになり。
特にバンコクの飲食は閉店や移転が頻繁にあって、書いてる途中で直すとこが頻発したりして、とりあえず飲食は下巻に回そう!他を先に出そう!と決めて。それに合わせて構成をリライトして。
まえがき、あとがき、著者紹介、奥付を書いて。
表紙は、また私の中でイメージがあって「モザイクみたいにいろんな写真並べたい!」って言ったら最初は「結構むずかしそう笑」という反応だったんですが、最終的にはイメージ通りのもの作ってくれて! 本って表紙のイメージがかなり重要だから、かわいく作ってもらえてほんとうにうれしい!!

7〜8割方できてるPDFデータはスマホやiPadで持ち歩いて、友達に時々見せて反応うかがってみたり、詳しい方に意見をもらったり。すごく励みになりました。最後には全文チェックしてらもって、誤脱字や内容におかしな所があれば修正したり、連絡が取れるお店には内容チェックしてもらって掲載許可をいただいたりしました。

トラブル勃発

なんとか原稿がほぼできた!という時期に2つ大きなトラブルが発生しました。

地図のリンクが貼れない!!

当初はGoogle MAPのリンクを貼るつもりで全ページ作成してました。が、なんとリンクは貼れないことが発覚。
実はKindleには2種類あって、ほぼテキストだけのもの(小説とかビジネス書みたいな本)はリンクを貼れるんですが、私が作った写真多めのレイアウト固定のもの(マンガや写真集、ガイドブックなど)はリンクを貼れないルールらしく。これ、どこ調べても情報が錯綜しててちゃんと書いてないんだよ!
色んな人に確認して、最終的にはAmazonの出版事業部にも確認取ってついに「リンクは貼れません」と確定し。結局…全ページ修正しました。。。また白髪増えるわ… (ノД`)・゜・。

なので、読んだ方の中で「GoogleMAPの検索ワードしか書いてない、不親切だな」って感じた方がいらっしゃるかもしれませんが、すみません。Kindleの仕様なんです…!!

出版データがUPできない!!!

ついに、全ページ完成!!! ようやく出版の手続きができる状態になったのに、何故かエラーが出て出版用のデータが作れなくて。完全にお手上げ状態になってしまいました。
デザインは InDesign で作ってて(ここは問題ないんだけど)、できあがった opfファイルをKindle comic creatorっていうので変換して出版用のデータにするんですが、なぜかエラーになってしまって。(公式でいいと言われてる方法のはずなのに!) いろいろ設定変えてやり直して何度やっても無理で、お手上げで。最後の最後で、もう出版できないかと思いました。。。
(Kindle本の先輩である「チェンマイ女子旅」の たいらさんがこの辺りで何度も相談に乗ってくれ、意見をくださって本当に心強かったです!)

しょうがないからデータ形式を変えて、 opf じゃなくてPDFで上げてみたら、なんとかうまくいって!! この時点で4月30日の早朝! 偶然だけど、平成の集大成みたいな感じですべて完成してデータ提出完了。
「72時間以内に出版可否の返答します」となって、結果ちょうど24時間くらいの5月1日(令和の初日)に販売開始になりました!!

まとめ

そんなこんなでバタバタの中、苦労して出版したよ!という楽屋のウラ話でした。振り返ってみると、ほんとたくさんの方々に助けてもらって作り上げた作品が完成して感慨深いです。
本の内容については、ぜひKindleで読んでいただけたら嬉しいです! 定価250円、Kindle Unlimitedなら無料で読めます。
手前味噌ではありますが、内容は充実してると思います。読んだ人を絶対にがっかりさせたくない。タイってこんな所あるんだ!ここ行きたい! そう思ってもらいたい。そんな想いで必死に作り上げた作品です。
写真はかなりこだわりました。読んだ方はけっこうな確率で「写真がきれい!」と言ってくださいます。ほぼ全ページ自分で撮りました。
(ほぼ、なのはマリナングさんだけ、私のより公式写真のがキレイだったので許可をいただいてそちらをお借りしてます。物撮りもっと勉強しなきゃなー!!笑)

Kindleって、販売冊数やUnlimitedの既読ページ数を確認できるんですが、先日1万ページを超えました! すごいたくさんの方が読んでくださって、本当にうれしいです!

今回、ゼロから1の流れを体験できたから、下巻はある程度スムーズに行く…といいな…笑
まぁ、作業量は同じく50ページ強あるので、とりあえずがんばって書きます。タイの飲食店が移転・閉店するたびに私は泣いてますが! 再取材がんばります!!笑

蛇足:みんなもKindle出したらいいよ!

個人的には紙の本ももちろん好きなんですが、電子書籍ってめちゃくちゃ便利なのですべての本が電子書籍で同時発売するようになってほしい!と願ってる人です。
ブロガーさんで私なんかよりよっぽどスゴイ人たくさんいるから、ぜひみんなKindle本出したらいいと思う!! ド素人の私でも出せたから、きっと皆さん出せると思う。
もし「出したいけどやり方よくわからん」って人がいたら相談乗りますよ! (私もそこまで専門的に詳しい訳でもないけどw) Kindle本が充実したらいいなーと願ってます。